企業の未来を創るビジネスコラム ひらめきのタネ
紙から動画のマニュアルへ! 動画マニュアルのメリットと作成方法、作成のコツ
2016年05月17日
複雑で多岐にわたる作業手順を人に指導・教育しようとする際、一般的には、指導する人間の音声・言語・動作などによる説明と、文書化された資料の参照との併用が有効と考えられています。そのような中で、近年では文書化されたマニュアルに代わり、動画によるマニュアルを作成・利用する企業が増えています。そこで、今回は動画マニュアルのメリットと作成のコツをご紹介します。
情報の入手方法は紙から動画へ
文化庁による平成25年度の「国語に関する世論調査」(調査時期は平成26年3月)の中の「読書について」の調査結果によると、「1カ月に1冊も本を読まない」という回答が全体の47.5%を占めています。
これは比較対象となっている同14年度の37.6%、同20年度の46.1%に対して増加傾向を示しており、65.1%もの人が「読書量は以前に比べて減っている」と答えていることからも、活字離れの傾向がはっきりと伺えます。
「読書量が減っている」と答えた人の理由として目を引くのは、「情報機器で時間が取られる」が5年前に比べて14.8%から26.3%へと倍増に近い増え方をしていることです。
活字離れが進む一方で、動画視聴に便利なデジタルデバイスに触れる時間が増えていることが分かるこれらの調査結果から、現在、比較的「動画が利用されやすい」土壌ができつつあることを伺い知ることができます。
動画マニュアルのメリット・紙マニュアルのデメリット
動画マニュアルの大きなメリットは、メディアへの接触頻度においてインターネット動画の存在感が増している今、特にこれから物事を覚えようとする若年層にとって非常に親しみやすい媒体であることです。
さらに、多彩な映像表現によって、「人+教材」のいわば理想的な指導形態を再現し、それを手軽に繰り返し観られる点もメリットといえます。
また、動画データをDVDなどの記録メディアではなくサーバーにアップしておけば、アクセス権を持つ社内のパソコンからいつでも動画マニュアルを閲覧することができます。生で行われる「研修」や「講義」に比べると、指導者、学習者双方にとって時間と場所の自由度が高いことも大きなメリットです。
従来の紙のマニュアルは、動画マニュアルに比べて視覚や聴覚に訴える情報量が少なく、持ち運びが大変なこと、学習者が増えた際の印刷コストなどがデメリットでした。
さらに、記載したい項目が膨大になった場合、これを全て紙(文章)に盛り込むのが難しいこともあります。
一方で、大量の情報を扱える動画マニュアルには、それらを全て盛り込むことが可能です。動画マニュアルを簡単に作成できれば、文章マニュアルの簡易版として活用できます。
動画マニュアルの作成方法
さまざまなメリットがある動画マニュアルですが、作成方法については馴染みがない方も多いのではないでしょうか。
そこで、作成方法の概要を簡単にご紹介します。
【1】企画・構成
動画マニュアルの使用目的や使用場面、ターゲットを想定し、それにふさわしい全体像を描き出します。
ひとくくりに動画マニュアルと言っても様々な利用シーンが想定され、公開先が社内と社外では求められる品質が異なり、パソコンとスマートフォンでは快適に視聴できる画面サイズ、時間の長さ、データ容量が異なります。これらを企画の段階で明確にしておくことで、後の作業の手戻りを防ぐことが出来ます。
【2】台本作成
完成版の時間を想定し、それに即した内容になるよう、ナレーションの文言の他、収録素材と追加素材(資料映像や図表など)、テロップなど文字情報も盛り込んだ「台本」を作成します。動画を視聴する方のスキルレベルに合わせた説明ができるように、何を、誰に、どのように、どの順番で伝えるのかを確認しながら作成することが重要です。
【3】収録(撮影・録音)
マニュアルのベースとなる説明部分を素材として撮影します。人がカメラに向かって説明する動画が必要な場合は、品質に合わせて照明やマイクなどのセッティングと、台本に落とし込まれたセリフの準備が必要です。
映像がパソコンの操作説明のみで良い場合は、パソコン画面を録画するだけで構いません。
【4】ナレーション収録
メイン素材の1つであるナレーションを収録します。作品全体をナビゲーションするのはもちろん、資料映像や図表を説明する役割があります。ナレーターは原稿を早めにチェックし、言葉の読みなどを確認しておきます。
ナレーション収録が難しい場合や音声が聞けない環境での視聴が想定される場合は、テロップだけでも構いません。
【5】編集
収録素材とその他の追加素材をつなぎ合わせ、不要な部分を削除するなどして映像編集をします。ナレーションや音楽、効果音、文字情報などを必要に応じて組み合わせ、それに伴い各カットの時間を微調整して完成品にしていきます。
動画マニュアル作成のコツ
動画マニュアルを作成するコツをご紹介します。些細なことがですが品質が格段に上がりますので、ご参考にされてはいかがでしょうか。
パソコン画面以外(人物など)の撮影のコツ
- 撮影時はなるべく三脚を使用し、画面ブレを防止する
- 室内では蛍光灯などに頼らず別途照明とレフ板を使用し、複数の照明による影に注意する
- ワンカットではなく、なるべく短く区切って撮影する
- 対象を真正面から捉えるだけでなく、ハイアングルやローアングルを使い分けて撮る
- 対象物だけでなく背景もあらかじめチェックし、余分なものが映らないようにする
テロップやナレーションのコツ
- テロップ、ナレーションは簡潔にする
- ナレーターの声のコンディションが変わってしまうことがあるため、収録は1日で終わらせる
作成全体のコツ
- 急な変更が増えると言いたいことが伝わらないものになるため、最初に出来上がりのイメージを持ち、軸がぶれないようにする
- 編集の後に「試写」を行い、複数の人に作品についての感想を求める
おわりに
動画マニュアルの需要増加は、技術や機器の進歩によって動画の視聴手段が大幅に拡張し、作成も容易になった現代では必然といえます。指導・研修を行う側にとっても、マニュアルの作成に携わるということは、従来の手法を見直すこと、また、より正確かつ効率の良い研修方法を模索する上で、大きな意義があるといえるでしょう。
ただし、実際に自社で動画マニュアルを制作するとなると、技術的なハードルが高く大変です。しかし、プロに依頼するのは予算の面で現実的ではありません。
そこで、ニッセイコムが提供する「iTutor(アイチューター)」を使用して、動画マニュアルを作成してはいかがでしょうか。パソコン上で行った操作を動画コンテンツに簡単かつ短時間で出力でき、ナレーションは合成音声も使用可能です。経験がない方でも気軽に動画マニュアルの作成を始めることができます。デモンストレーション用コンテンツや新人研修用の教育動画などが必要な場合は、導入を検討されてはいかがでしょうか。