文教向けIT環境構築サービス 導入事例 立命館中学校・高等学校様

お客様の声
「『次の100年』を見据えた新キャンパスのICT環境は、ニッセイコムの技術力に支えられています」
導入製品
2014年9月1日、立命館中学校・高等学校(以下 立命館中高)の長岡京キャンパスが開校しました。新キャンパスの情報基盤整備を支援したニッセイコムの取り組みについて、立命館中高の皆さまに伺いました。
<写真>
〔立命館中学校・高等学校〕副校長 文田明良氏(左から3番目)、情報科主任 小林誠氏(右から3番目)、情報科・高校生徒会顧問 清田祥一郎氏(左から2番目)、テクニカルサポート 南一志氏(右から2番目)
〔弊社〕営業 清水(左端)、SE 村尾(右端)
導入前の課題
- 新旧入り交じった機器を組み合わせたマルチベンダー環境を短期間で構築しなければいけない
- 生徒用PC端末の環境の統一と、メンテナンス負荷を削減したい
導入後の成果
- マルチベンダー環境で起こりがちな調整作業を乗り越え、複雑な情報基盤環境を短期間で構築
- 高速な起動と運用負荷軽減を実現したネットブートクライアントシステムを構築
導入の背景・目的
「次の100年」のための、新しいキャンパス
— はじめに、長岡京キャンパスについてご紹介いただけますか。
長岡京キャンパスは、2014年9月1日に開校した立命館中高の新しいキャンパスです。校舎全体の延べ床面積は約39,000平方メートル、旧キャンパス(深草キャンパス、京都市伏見区)の約1.5倍の広さがあります。

「次の100年」への想いが込められた、開校したばかりの長岡京キャンパス。
詳しくは下記リンクもごらんください。
立命館中高 長岡京キャンパスご紹介サイトへのリンク
2015年に創立110周年を迎える立命館中高では、伝統を守るだけではなく自己革新のために、以下のような新たなチャレンジに取り組んでいます。
<グローバル社会への対応>
2014年に文部科学省のSGH(スーバーグローバルハイスクール)に認定され、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)と合わせて二つの認定校となりました。さまざまな分野でグローバルな視点に立って主体的に考え、世界の若者と堂々と意見を交わし合える表現力、英語力、コミュニケーション力を育てます。
<21世紀型の一貫教育モデルの創造>
立命館小学校、立命館大学(衣笠、BKC、大阪茨木)との連携による、総合学園にしかできない新しい一貫教育体制のもと、将来の社会に貢献できる自立した人を育てることをめざしています。
これらの実現に向けて、また「新しい価値を創造し、未来に貢献できる人を育てる学校づくり」を目指して、長岡京へのキャンパス移転に取り組んできました。
旧キャンパスでは行えなかった小学校・大学との連携環境(図書館・ICT・プレゼンシステムを一体化したメディアセンター、研究発表やシンポジウムを行えるホールなど)や、外に向かって新しいことにチャレンジしたくなる様々な設備(毎年海外から30校以上の高校生を迎える際の交流や発表の場となるオープンスペースや日本文化室など)が特長です。
— 長岡京キャンパスの移転に際し、ニッセイコムはどのような役割を担ったのでしょうか。
ニッセイコムに依頼したのは、新キャンパスの情報基盤整備です。具体的には「情報関連教室」と「学内サーバ」の構築です。
情報関連教室は、4つのメディアラボと、メディアセンターのPCコーナー、アクティブラーニングラボとで構成されます。メディアラボには生徒一人一人にクライアント端末、アクティブラーニングラボにはiPadやSurface等のタブレット端末が準備されています。
学内サーバとしては業務系、ファイル共有、Web、認証などがあり、サーバ室で一括管理されます。
旧キャンパスで使っていたPCやサーバ等の中には、まだリース期間が残っているものもありましたので、可能なものは継続して活用しつつ、足りないものを新たに調達し、それらを組み合わせて運用しようと考えていました。
流用できる機器は何台あるか、新たに必要な機器は何か、与えられたスペックの範囲内でどのようなパフォーマンスが必要なのか、どのくらいの時間で構築をしなければならないか(移転間際まで旧キャンパスで稼働させなくてはいけない機器もあるため)、それらの事項を要求仕様にまとめ、ベンダー入札を行いました。複数社が応札した中で、最終的にニッセイコムが選ばれました。
— 「情報関連教室」と「学内サーバ」それぞれについて、ニッセイコムは具体的にどのような事を行ったのでしょうか。
情報関連教室については、PC本体やモニタ等のハードウェア、授業支援システムやネットブートクライアントシステムの導入を行っていただきました。
ソフトウェアの事前検証や流用PCの設定変更、ネットワーク設定、システムテスト、ドキュメント整備等の構築に関わるさまざまな作業も含まれます。
学内サーバについては、新規サーバ導入と流用サーバの移行、仮想サーバシステムの構築、LAN配線、ネットワークテスト等を行っていただきました。

全体構成概要図
— これらの構築業務をふりかえってみて、ニッセイコムの活動についてご評価いただけますでしょうか?
ニッセイコムの皆さまは、私たちの期待に十分応えてくれました。
特に、以下の3点が評価ポイントとして挙げられます。
(1) 失敗の許されない、超短期間での構築
(2) マルチベンダー体制での「先を見越した調整力」
(3) 厳しい制約条件下でのネットブート最適化
評価ポイント
失敗の許されない、超短期間での構築
— それでは順にお伺いします。まず「(1) 失敗の許されない、超短期間での構築」とは?
ニッセイコムへの発注が決定したのは7月はじめでした。そこから9月1日の開校までに、上述の範囲の機器調達・構築をお願いしなければなりませんでした。特に今回は旧キャンパスで稼働している多数の機器を流用するということもあり、作業は夏休み期間で一気に行ってくださいました。
開校日は決まっており、何かトラブルがあっても後ろにずらすことはできませんでした。約2ヶ月弱という極めて短い期間でのタイトな作業でしたが、ニッセイコムのエンジニアは着実かつスピーディーに進めてくれました。
マルチベンター体制での「先を見越した調整力」
— 次の「(2) マルチベンダー体制での「先を見越した調整力」とは?
新キャンパスの情報基盤構築に関わるベンダーは、ネットワーク、AV設備、什器等で5、6社ありました。各ベンダーの担当範囲が相互に細かく関連し合うため、頻繁に会議を行い、調整に努めました。
もちろん取りまとめや調整の責任は私たち側にあるのですが、膨大な作業工程の中でどうしても調整不足の箇所が生じてしまいました。そのしわ寄せは、後工程を担当するベンダー(今回の場合、ニッセイコム)が負うことになります。
ネットワークの配線や設定、コンセントの位置など、変更情報の共有が十分に行われなかった箇所が後になって色々と見つかったのですが、ニッセイコムのエンジニアはそれらの1つ1つにきちんと対応してくれました。
更に「不具合が起こってからの対応」だけではなく、「不具合が起こる前の提案」をたくさんしてくれました。たとえばネットワークに関しては「この設定では後でこういうことができず、困ることになりませんか?」「こうしたほうが全体のパフォーマンスが上がると思いますが、いかがですか?」といった提案です。最後までとても頼もしかったです。
厳しい制約条件下でのネットブート最適化
— 最後の「(3) 厳しい制約条件下でのネットブート最適化」とは?
今回の情報基盤構築にはさまざまな最新技術が盛り込まれていますが、そのトピックの1つが「ネットブートクライアントシステム」です。
これまでは、授業中に生徒が設定を変更してしまうこともあり、各端末を初期状態に戻したり、1台1台にOSのアップデートを施したりするのにたいへん時間と手間がかかっていました。作業は授業の空き時間に行わなければならず、休日出勤もたびたび発生していました。そのため、クライアント端末をサーバ側で一括管理できるネットブート環境を構築しようと考えました。
ただし、一般的にネットブート環境を実現するためには相応の機器スペックやネットワーク環境が求められます。今回は流用する低スペック機器も多く、ネットワーク帯域も予め決められていましたので、ストレスの無いネットブート環境が実現できるかと当初は心配していました。
ニッセイコムのエンジニアは、厳しい制約条件下で最大のパフォーマンスを得られるよう、様々な工夫を施してくれました。その結果、教室内PCの一斉起動でも、概ね1分程度で起動するネットブート環境を低コストで実現でき、メンテナンス時の負荷も従来のシステムに比べ劇的に削減できました。
導入効果
「構築した後のこと」を考えてくれたことを実感
— 新キャンパス開校後、システムは順調に稼働していますか?
小さなトラブルはありましたが、概ね順調です。ニッセイコムのエンジニアにサポートに来ていただくこともありますが、多くの事象は学内のスタッフで対応できています。実際に運用してみて、運用時の負荷をできるだけ軽減できるように構築されていることが実感できました。
上述のネットブート環境も、問題なく安定稼働しています。
4室用意されている「メディアラボ」。生徒用のモニタは収納可能でグループワークがしやすい。
今後の展望
— 最後に、今後の展望について教えてください。
ニッセイコムにご協力をいただいた「メディアラボ」等の最新の情報教育環境は、それ自体を作ることが目的になりがちです。しかし環境を整えるというのはあくまでも手段であり、それをどう使って学びに結びつけるかが大切です。
ICT教育については「情報を調べた、ICT機器を使った」=「学んだ」という解釈に陥ってしまう危険性があります。そうならないためにも、教員や学内スタッフが継続的にアイデアを出し合い、新しい教材や課題を提供し、どんなアウトプットを自主的に創りあげていくことができるのか、工夫やチャレンジを続けていきたいと思っています。
そして教育現場で生み出されたアイデアは、学内に閉じ込めるのではなく積極的に外に発信していくつもりです。ニッセイコムも、多くの教育機関へのサービス提供で培われた技術や経験をお持ちだと思います。引き続きさまざまな情報交換をしながら、生徒の成長を支えて頂ければうれしいです。
お忙しい中、ありがとうございました。
お客様について
〔立命館中学校・高等学校(成山治彦校長、生徒数1,732人)〕 1905年私立清和普通学校として創設、2015年に110周年を迎える。 現在、1小学校、4附属中学・高校、2大学・大学院を擁し、約4万人が学ぶ立命館学園において、中高一貫教育の中心となる学校である。
本社所在地 | 京都府長岡京市調子一丁目1-1 |
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設立 | 1905年 |
Webサイト | 立命館中学校・高等学校 |
2014年12月取材。
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現時点では変更になっている場合もありますのでご了承ください。
