WinActor 導入事例 西日本高速道路リテール株式会社様

お客様の声
「RPA初心者でも、半年で60本以上のシナリオを作成して社内を変えることができたのは、『最初の小さな成果』と『自社運用の土台』を早く作ったからだと思います」
導入製品
<写真>
〔西日本高速道路リテール株式会社〕
総務部経理課 経理担当課長 大串 一吉 氏
〔弊社〕
営業 石井(右端)、SE 川尻(左端)
西日本高速道路リテール株式会社 総務部経理課 経理担当課長の大串一吉氏(写真中央右)に、RPAツールの導入経緯や導入効果、成功のポイントなどについて伺いました。
導入の背景・目的
— はじめに、RPAツールの導入経緯を教えてください。
当社は5年ほど前に3社が合併して発足しました。それを契機に店舗からバックオフィスまでさまざまな業務の合理化に取り組んできましたが、課題の1つに「販売データの出力や集計業務の手間」がありました。
全48店舗がそれぞれ販売管理システムを操作して販売データを取り出し、報告用の形式に転記し、送信するという作業をしていました。データは関西・中国・九州の各地区での取りまとめを経て全社で集約されます。日次売上は翌日に経営層に報告され、現金/カードなど決済別の情報も合わせたデータが会計システムに入力されます。日次の処理に加えて、エリアや商品別の傾向分析等は月次や指定期間毎に行われます。
販売管理システムからデータを抜き出す所から全社集計が終わるまでに、何度か「手作業で入力し直す」という過程が挟まれていました。ミスや抜け漏れがあったり、データが揃わずに本社の営業担当が各店舗に催促をして取り寄せたりということが毎日発生していました。
店舗にいるスタッフはITに詳しい者ばかりではありません。また観光バスから一気にお客様がいらっしゃった時などは総出で対応しなくてはいけませんから、データの入力や送信作業は後回しです。しかし全店舗分の数字が揃わないと報告はできません。日次売上については翌日の始業から集約作業を始め、経営層に報告ができる状態になるのはいつも15時頃になっていました。加えて「ここ1週間の、お土産を除いた食べ物だけの予実が見たい」というような別の切り口からの指示があった場合、また全店舗に依頼をして、催促をして、まとめて…という作業が繰り返されます。各店舗と本社の両方で、本来業務ではないデータ入力や確認に時間を取られていました。
販売管理システムは親会社が運用をしている独自Webアプリケーションで、CSVによるインタフェースしかありませんでした。このシステムそのものに手を加えることは出来ないため、逆に自社の会計システム側からデータを取りに行くというアプローチを会計システムのベンダーに相談したこともありましたが、これも技術的・費用的に難しく見送られました。
システムに機能追加ができない以上、今まで通り手作業で何とかしのぐしかないと思っていた時に、ニッセイコムに紹介されたのがRPAツールでした。それまでRPA(Robotic Process Automation)という言葉は知りませんでした。
ネット検索でRPAを調べてみました。自治体やメガバンクなどの大量データ処理業務がありそうな会社ならまだしも、当社くらいの規模でコストに見合った効果が得られるか、最初は半信半疑でした。しかし他に選択肢も無く、挑戦してみることを決めました。
社内で経営層に説明をして承認を得る際には、ニッセイコムに提供していただいた、ツールの動作イメージ映像が役に立ちました。
導入プロセス
— RPAツールの導入を、どのように進めていかれたのか教えてください。
導入したRPAツールは、ニッセイコムに提案していただいた「WinActor」です。
ツール単体ではなく、ニッセイコムのエンジニアによるサポートサービスとセットで導入し、「1. 部品の開発」「2. 部品を用いたシナリオ作成」「3. 運用テスト」という流れで進めていきました。順に説明します。
<1. 部品の開発>
まずニッセイコムに「部品」を作って頂きました。
これは、後述する「シナリオ(自動化する作業や処理をフロー図のような形式で記述したもの)」を作成するためのものです。複数の業務で発生する処理を予め部品化しておくことで、シナリオの作成が容易になります。
詳しくは後述しますが、初心者でも自力で次々とシナリオ作成ができる、大変扱い易い部品を作って頂けたと思います。元々ニッセイコムには販売管理システムの導入支援でもお世話になっていましたので、システムの仕組みやインターフェース、基本的な業務などについて熟知されていました。その知識やノウハウを部品作りに活かしてくれました。
<2. 部品を用いたシナリオ作成>
上述の部品を用いて、まずは「日次/月次売上データの抽出」という1つの業務に絞ってシナリオ作成を行いました。基本的には自分たちで行い、わからない所をニッセイコムに教えてもらうという形で進めました。
WinActorはとてもわかりやすく、プログラミング経験の無い人でもパズルを組み合わせる感覚で簡単にシナリオを作る事ができました。1本目のシナリオは2〜3日で出来上がりました。
<3. 運用テスト>
シナリオが目論見通りに動くかどうか、実際に運用を行いました。48店舗分の処理がデスクトップ上で次々と行われる様子を最初に見たときは、まるで透明人間がマウスやキーボードを操作しているように見えました。
実際に運用をしながら「ある条件の時には途中で止まってしまう」というようなトラブルを1つ1つ解決していきました。ニッセイコムのサポートを受けながら、どのような時にどのようなエラーが起こるか、原因は何で、どこを直せばいいか等について学習を重ねました。運用テスト期間は約2ヶ月でした。
導入効果
— RPAツールの導入によって、業務にはどのような変化がありましたか。
最初にシナリオ化した業務だけで見た場合、1ヶ月あたり904時間の作業時間を自動化する事ができました。8時間/日で作業者を確保した場合、113人日分の人件費を削減できた計算になります。先述の経営層への日次売上報告は11時までに完了できるようになりました。
空いた時間を本来の業務に使う事ができるようになりました。抽出や集計だけで精一杯だった頃の営業スタッフは「数字がいったかいかないか」で終わっていましたが、今では「何が、どのくらい、なぜ売れたのか」を考察し、対策を立てられるようになりました。これまで分析がおざなりになっていたのは能力が無いからではなく、能力を発揮するための時間を奪われていたからだということを痛感しました。
はっきり効果が出ると、他の業務についても自動化したくなります。
日次や月次だけではなく繁忙期などの任意の期間のデータ抽出や、商品区分別の集計など、少しずつシナリオを増やしていきました。ニッセイコムの作ってくれた「部品」のおかげで、必要な所だけ書き換えればすぐ新しいシナリオが出来上がります。そして自分の仕事が楽になるという評判はすぐに社内に広まります。色々な部署から「これも自動化できないかな」と相談を持ちかけられるようになりました。
新しいシナリオを作る時は、部署を超えて複数の担当者が集まり話し合いをします。
「あれ、両方の部署で同じような事をやっていたのか」
「この処理はひとまとめにした方がお互い効率的だよね」
シナリオ作成が、認識のすり合わせや勘所の共有になる。これは当初想定していなかった効果でした。
導入からまだ半年ほどしか経っていませんが、現在までに作成したシナリオは60本を超えました。直接的な削減時間分だけでも導入費用の元はもう取れていると思います。しかし、それ以上に価値を感じているのは、空いた時間で本来やるべき事ができるようになったことや、みんなの仕事の見方そのものが変わってきたことです。
今までは「面倒だな」「後回しにしよう」だったのが、
「これはもっと単純化して自動化できないかな」
「(自動化するための準備として)この業務の本質は何だろう」
「これを自動化したら、その時間でこんな工夫ができそうだ」
というようなつぶやきや会話に変わりました。RPAツールの導入によって、各々が自分の仕事をより高度化する方向に意識を向けるようになりました。
私自身にも大きな変化がありました。
これまで全くITに関わってこなかったのに、現在は情報システム部門のような役回りを担っています。販売だけでなく人事や総務の業務まで目を向けると、自動化できる業務はまだまだ社内にたくさんあります。RPAツールを通じて社内の仕事を高度化していく、そのような活動を推進していきたいと思っています。
RPAツール導入を成功させるために
— 社内にRPAツールを導入する時に大切なことは何でしょうか。実際に経験されてわかった事があれば教えてください。
「最初の小さな成果」と「自社運用の土台」を早く作ることだと思います。
どんな小さな業務でも、実際に自動化してその効果が実感できると、社内の理解が得られて協力者も現れ、スムーズに普及していきます。一度にあれもこれもと欲張らない方がいいと思いました。
ただし社内の理解が得られても、その後スムーズにシナリオを増やしていくためには、そのための能力がないといけません。当社ではニッセイコムにサポートしていただき、対象業務の選択からシナリオ作成、運用テスト、トラブルシューティングまで一連の流れを自力で遂行する技術を習得する事ができました。加えて操作マニュアルを作っていただいたり、「変数とは何か」といった基礎となる知識についてのレクチャーをしていただいたりもしました。
これらが全て、その後の安定した自社運用の土台となっています。
この土台が、現在までに60本以上のシナリオを自分たちで作る事ができた最大の要因です。サポート費用はかかりましたが、独力で時間をかけてやるよりもずっと早く成果を出し、冷めないうちに社内を巻き込んで展開することができました。
お忙しい中、ありがとうございました。
お客様について
西日本の高速道路内にあるサービスエリア・パーキングエリアの運営会社。NEXCO西日本グループのオリジナルブランドである“モテナス”サービスの向上に取り組み、常に安全・安心で洗練された快適なお休みどころを提供するとともに、お客様と地域を結び、広く社会から信頼されることを経営理念として掲げている。
本社所在地 | 大阪市北区堂島2丁目4番27号 |
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創立 | 昭和41年12月20日 |
従業員数 | 1,478名(平成31年4月1日現在) |
Webサイト | 西日本高速道路リテール株式会社 |
2019年6月取材。
このページの情報は取材日時点のものです。
現時点では変更になっている場合もありますのでご了承ください。
WinActor はエヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。
