GrowOne Cube 販売 導入事例 株式会社プラントデザイン様
お客様の声
「生産者と小売店の双方が喜ぶ『園芸植物の新たな流通モデル』を支えているのが、ニッセイコムとGrowOne Cubeです」
導入製品
株式会社プラントデザイン 代表取締役 草一彦氏(写真右から2番目)に、ニッセイコムの「GrowOne Cube販売」を導入された経緯や、事業の拡大に合わせてどのようにシステムを進化させてきたか等を詳しく伺いました。
※写真左端:弊社SE 菅野、右端:弊社営業 武田
導入前の課題
- 園芸植物の流通における生産者と小売店のミスマッチを解消する、新たな事業モデルを確立したい
- 事業の成長に合わせて販売管理システムを進化させていきたい
導入後の成果
- 生産者の経営支援や、小売店の仕入れ・販促計画をリードするために必要な情報が、いつでも簡単に入手できるようになった
- データに基づいたマッチングによって、多くの生産者・小売店から信頼を獲得することができた
- 使いやすいシステムに進化させることで、社員が1人前になるまでの期間を短縮できるようになった
導入の背景・目的
園芸植物の流通を変革したい
— はじめに、販売管理システムの導入経緯について教えてください。
当社が販売管理システムの導入を検討し始めたのは、会社設立から約1年が経った2001年の夏頃でした。
当社はもともと、園芸植物の流通のあり方を変革したいという理念で設立された会社です。
その理念と販売管理システムの導入は強く関連していますので、その辺りを含めてご説明します。
旧来までの園芸植物流通では、生産者が作りたい植物を作って市場に出荷し、仲買人や問屋によってセリで値段が決められ、小売店に販売されていました。そのため以下のような形で「流通のミスマッチ」が起こっていました。
〔生産者側の悩み〕
- 常に値崩れする恐れがあり、安定した経営ができない
- 営業力が弱く、販売網が広がらない
〔ホームセンター側の悩み〕
- 品揃えを改善したくても、欲しい時に、欲しい数が市場にあるかわからない
- 数があったとしてもセリがあるため適正な仕入原価を維持できない
生産者とホームセンターをうまくマッチングさせることができれば、両者のみならず、さまざまな良い商品を適正な価格で買いたい一般消費者にもメリットがあります。
マッチングの鍵は「流通の仕組みの変革」にあると考えました。メーカーや生産者が作ったモノを販売する仕組みから、消費者が欲しいモノを生産する仕組みに変えていくことが必要と考えました。
消費者が欲しいモノを生産するためには、実態についての広範なデータが必要です。しかし、園芸植物の業界は、他と比べてシステム化がかなり遅れていて、単品管理もままならない状態でした。そのシステムを確立し付加価値の高いデータを持つことで、生産者とホームセンター双方から頼られる卸売会社になれると考えました。
まずは当社の理念に賛同していただける取引先と共に、システム化のノウハウを蓄積しようと思っていました。ところが想定より早く、会社設立から1年も経たないうちに販売管理システムの必要に迫られました。園芸植物は品目が大変多く(「ハーブ」だけで約150種類)、取引先が少し増えただけで、最初に使っていたシステム(会計ソフトに付いていた簡易的な受発注管理機能)だけでは作業が回らなくなったのです。
そこで販売管理システムの導入を決断しました。
3社の製品に絞り、それぞれの会社の営業やエンジニアと会話をしながら、最終的にニッセイコムの「GrowOne Cube販売」(※)を選びました。
(※ 当時の製品名は「NC販売くん」)
選定ポイント
ニッセイコムは、事業展望にコミットしてくれた
— 3社の候補製品の中からニッセイコムの「GrowOne Cube販売」を選ばれた理由を教えてください。
候補各社に対しては、今すぐ必要な機能だけではなく、上述のような事業展望についても説明し、事業と共にシステムを発展させていきたいということも伝えました。
ニッセイコムを選んだ最大の理由は、この事業展望にコミットしてくれたことです。他の2社が「自社システムでできること・できないこと」の対応に終始し、まず標準システムの受注に注力していたのに比べ、ニッセイコムはその先のシステムの発展可能性を一緒に考えてくれました。
おそらく豊富な実績やノウハウを持っているからでしょう、1つ1つの返答や拡張アイデアに説得力がありました。この会社であればこれから長くお付き合いして、システムを一緒に発展させていくことができるというイメージが描けました。
2001年秋に「GrowOne Cube 販売」の稼働がスタートしました。
それから10年以上の歳月をかけて、事業の成長と共にシステムは進化していきました。
導入効果
売上が3倍に増えても、増員せずに業務を行うことができた
— 「GrowOne Cube販売」は、導入後どのように進化していったのでしょうか? 得られた成果と合わせてお話を伺いたいです。
システムのカスタマイズは、数年毎の節目ではなく「必要だと思った時に、随時」行ってきました。ですから細かな所まで挙げるときりがないので、いくつかのトピックをご紹介したいと思います。
まず導入当初ですが、初めは大きなカスタマイズは行わず、GrowOne Cubeの標準的な機能を使って受発注業務を確実に行うことに注力していました。導入時から2期後には売上高がおよそ3倍になったのですが、一切人を増やさずに業務を行うことができました。
GrowOne Cubeが無ければ絶対に増員が必要な処理量でした。設立間もない頃にシステムに数百万円の投資をしたのは大きな決断でしたが、GrowOne Cubeによって事業の成長スピードを鈍化させずに済みました。
受発注業務のベースが確立された後は、データ活用を目的とした様々なカスタマイズを施し続けてきました。ホームセンターや生産者に対して、付加価値のある提案をタイムリーに行っていくことが目的です。
ホームセンターのPOSデータとの連携や、分析ツールの追加などを行いながら、少しずつ付加価値提案ができる体制がつくられていきました。
買取率99.7%の実績によって、生産者の経営を支援する
— 「付加価値のある提案」について、具体的に教えていただけますか。
「生産者に対して」と「ホームセンターに対して」に分けて説明します。
まず生産者に対しては、販売実績(仕入だけではなく、ホームセンターの各店舗で何がいくつレジを通過したかまで)に基づいた生産計画を提示できるようになりました。
生産者にとっては、当社と取引をすることで従来までの「見込生産」から「受注生産」にシフトすることができたということです。現在当社は、生産者に発注した植物の99.7%を買い取っています。99.7%という買取率は、園芸植物の業界では飛び抜けた数値だと思います。
この実績が、生産者からの「プラントデザインは約束を守ってくれる、安心して生産できる」という信頼を支えています。
当社の提示した「生産計画書」を担保に銀行から短期の借り入れを行っている生産者もあります。農家は売上の季節変動が大きく、一時的に資金の借り入れが要るケースは少なくありません。当社の提供するデータによって、生産者の経営を支援できるようになりました。
ホームセンターとの取引は、約85%が「こちらから仕掛けた提案」
— 続いて「ホームセンターに対しての付加価値」についてはいかがでしょうか。
園芸植物については、POSデータをうまく活用できているホームセンターはあまり多くありません。理由の1つに、ホームセンターの担当バイヤーの異動サイクルの早さが挙げられます。長くて3年、植物に慣れてきたあたりで別の部門に移ってしまいます。
代わりに来るのは、ペンキや文房具などを担当していたバイヤーです。植物は工業製品とは違い、急に天候要因で入って来る量が変わったり、葉っぱの枚数が去年と違ったりします。「母の日にカーネーションを売るためにはいつからどう動かないといけないのか?」といった引き継ぎも不十分のまま、植物特有の問題に振り回される毎日で、販売計画を立てるなんてとんでもないという状況になっているホームセンターは少なくありません。
GrowOne Cube販売にインプットされた様々なデータは、ホームセンターにとって欲しい情報を自動的に加工してすぐに引き出せるようになっています。店舗のPOSデータを提供してもらうことで、生産のタイミングやどの時期にどのくらい売れるのかという仮説が立てられます。その仮説を元に、各ホームセンターに提案を行います。
当社の強みは「欠品データ」を出せるということです。
たとえばある植物を120個仕入れようとしたが、生産者側の都合で100個しか用意できなかったとします。100個店に並べて92個がレジを通過したとしたら、ちょうどいい仕入量だったといえます。しかし、100個仕入れて100個売れたら話は変わってきます。もし120個あったら120個全てが売れていたかもしれません。欠品による機会ロスが20個分あったということです。
このような欠品データを、ボタン1つでいつでも取り出すことができます。いちいちデータを引っ張り出して面倒な加工を施すという手間は要りません。機会ロスをいち早く発見し、ホームセンターと生産者側双方に迅速に働きかけることで全ての関係者にメリットをもたらすことができます。
現在、全てのホームセンターとの取引の約85%が当社からの提案です。残りの15%は、ホームセンター側から「今月の仕入れ枠に空きがあるけれど、何か無い?」というような依頼に対して当社が対応するというケースです。ですからほぼ全ての取引について、ホームセンターと仕入計画、販促計画を一緒に作って動かしていくというような関わり方をしています。
「どうしたら早く帰れるか?」を出発点にした、現場発のカスタマイズ
— 上記のような事が実現できるようなシステムに至るまでに、さまざまなカスタマイズを施したということですが、どのように多数の改善点を洗い出していったのでしょうか?
導入から最初の2〜3年は、社長である私の頭の中にある構想や思いつきを元に、ニッセイコムに対してオーダーを出していました。しかしその後は、基本的には「社員がカスタマイズ提案をする」という仕組みにしています。
社員には「どうしたらもっと早く帰れるか」を常に考えなさいと言っています。
何かのデータ検索に時間がかかっているとしたら、検索結果をボタン1つで表示できるようにすればいいのです。仕事をしながら効率化できそうな部分を発見したら、私を介さず直接ニッセイコムに相談し、システム改善の提案を自分で作って、いつでも社長にプレゼンすることができます。
過去の提案の採用率は80%くらいでしょうか。基本的に時間短縮になる提案には全てGoサインを出しています。多くの提案が採用され、システムがバージョンアップし、業務が楽になることを体感した社員は、もっと良いものにしようと自分で改善点を探し始めます。
これまでの数年間で、たとえば以下のようなバージョンアップが加えられました。
〔Excelベースの入力インターフェース〕
出力だけでなく、入力作業もExcelベースで行えるようにしたことで、より直感的に操作できるシステムになりました。
〔クレーム検索〕
「葉が枯れていた」「数が違う」といった過去のクレーム情報を、いつ、どの店舗で、どの商品について、といった様々な条件で簡単に取り出せるようにしました。それにより、問い合わせの電話を受けた際にすぐに過去情報を参照し、適切な対応を行えるようになりました。
〔操作シミュレーション〕
初心者向けに、1ヶ月前の実データを使って受発注処理等のシステム操作の練習をできるようにしました。
これらのバージョンアップにより、新入社員が早く独り立ちできるようになりました。
システムの概念や様々な定義、操作方法を修得して、1人の戦力として動けるようになるまで過去は半年以上かかっていました。それが現在では約3ヶ月まで短縮されています。
新入社員だけではなく、既存社員の業務効率化にも貢献しています。
何かの情報を検索している時間、データを加工している時間などが削減できた分、1人で回せるお客様の数が増え、心でサービスしなくてはいけない所に多くの時間を割く事ができるようになりました。
今後の展望
— これまでのニッセイコムの活動について、ご評価頂けますか。
2001年にGrowOne Cubeを導入した時に期待していた「システムを一緒に発展させていく」ということを、着実に実現してくれました。上述の社員からの改善要望については、その頻度に加えて、曖昧な要望を仕様に落としていく難しさがあったと思います。当初からずっと同じエンジニアの方につき合って頂いておりますが、もう当社の社員と同じくらいに業務に精通されています。正直申し上げて、一番恐れていることは当社の担当から外れてしまうことです。これからもずっとサポートして頂きたい。
印象に残っているのは、2011年3月11日の震災の時です。当社にとっては、いよいよこれから繁忙期が始まるという時期でした。ですからシステムがちゃんと動いているか心配してくれたのでしょう、その日のうちに当社まで来てくれました。嬉しかったですよ。「いいから自分たちの心配をしなさい」と追い返しましたが(笑)
当社は設立から14年、ずっと無借金経営で黒字決算を継続しています。それをシステムの側面から支えているのがGrowOne Cubeであり、ニッセイコムです。
事業モデルが今までに無かったものである以上、システムにも完成系は無いと考えています。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
お忙しい中、ありがとうございました。
お客様について
全国の大手ホームセンターに対するガーデニング用園芸植物の企画・販売・販促支援を行う卸売会社。市場を通すことが一般的であった園芸植物業界の中で、生産者と店舗をダイレクトに繋ぐ仕組みを構築、園芸植物の流通革命を実現した企業として注目を浴びている。
創業から短期間で国内トップシェアクラスの取扱高に成長。現在は、全国130件以上の花苗・野菜苗・鉢花の生産者から直接植物を仕入れ、全国に4,200店舗あるといわれるホームセンターのうち約半数の店舗に納品している。
本社所在地 | 宮城県仙台市青葉区 |
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創立 | 2000年6月 |
従業員数 | 20名 |
売上高 | 16億9,000万円(2014年8月期) |
Webサイト | 株式会社プラントデザイン |
2015年2月取材。
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