商社向け基幹統合システム(スクラッチ開発) 導入事例 丸善薬品産業株式会社様
お客様の声
「ニッセイコムと一緒に育ててきたシステムは、全社の残業時間削減や、経営情報の日次把握を実現しました」
<写真>
〔後列:丸善薬品産業株式会社〕
業務本部 本部長 松井健太郎氏(中央)
同本部 管理部 管理課 課長 安田行統氏(右から2番目)
同本部 東京管理部 山﨑正史氏(左から2番目)
同本部 管理部 古川浩史氏(右端)
同部 岡本茜氏(左端)
〔前列:弊社〕
営業 佐藤(右から2番目)、渡辺(右端)、SE 永阪(中央)、梶田(左から2番目)、
小山(左端)
導入の背景・目的
手作業を削減し、事務管理業務を再構築したい
— はじめに「商社向け基幹統合システム」の導入経緯を教えていただけますか。
当社は2008年に、ニッセイコムにシステムの開発を依頼しました。このシステムは仕入・販売・在庫管理・会計などの機能が統合されたもので、専門商社である当社にとっては事業の根幹を支える基幹システムです。
それ以前まで本システムは汎用機で運用していました。オープン化をするにあたって複数のERPパッケージを調査しましたが、パッケージではなく独自開発を選択しました。当社は化学工業薬品、医薬品、土木資材、食品、電子材料など多岐にわたる商品を扱っています。種類の異なる多様な商品の受発注や在庫管理をカバーするためには大規模な追加開発は避けられず、パッケージのメリットが得られない。独自開発の方が良いと判断しました。
新システムの設計にあたり、現場を回ってヒアリングを行いました。当社の社員はほぼ全員がこのシステムのユーザーとなります。全ての意見を聞いていると収拾が付かなくなることを心配していましたが、整理してみると似たような要望が多いことがわかってきました。そうであれば当社の社員数でしたら後になって「私は何も聞かれなかった」という事のないように、全員の声を集めることにしました。ニッセイコムのエンジニアと一緒に、北海道から九州まで全26部署に足を運びました。
最も多かった要望は「各種手作業の自動化」でした。
営業担当者は毎月締日に集中するデータ入力作業に悩まされていました。紙の単価台帳やコードブックをめくって目的の情報を見つけ出すだけでも一苦労で、締日や月末は残業が常態化していました。
毎月末には一度に約2,000枚の請求書を発行します。これを10人くらいで、ほぼ1日かけて手作業で封入していました。
システム担当者は汎用機から取得した情報をcsvファイルに変換し、データをExcelなどで編集加工するという手順で予算管理資料を作成していました。年々、より多量のデータをより速く分析することが求められるようになり、手作業での対応が困難になっていました。
これらのような手作業を極力削減し、事務・管理業務をできるだけシンプルなものに再構築する。そのためのシステム作りが始まりました。オープン化の決定から一年半が経過した2010年1月、ニッセイコムの開発した新システム「SMART(※)」の稼働が始まりました。
※SMARTとは、S:simple M:management A:application R:restructuring T:totallyの頭文字をとったものです。「完全に再構築し、全ての業務を効果的に且つ簡単に処理する事が出来る」システムという意味があります。
<販売・会計機能が一体となった統合システム「SMART」>
このシステム上で、約2,000の仕入先から1万点超の種類の商品を仕入れ、約3,000社のお客様に納入しています。
導入効果
残業時間は削減し、経営情報の日次把握も実現
— 新システム導入の効果について教えてください。
では順に説明します。
取引先情報、単価情報などの自動入力やWeb-EDI対応などにより、営業担当者の事務作業の多くが自動化されました。ある程度の入力によって出荷基準で売上が自動計上されることで、締日の作業負荷を分散させることができました。
印刷から、封入、郵送まで手作業だった納品書発送は、夜間の自動FAXまたはシーラー(ハガキ)印刷に切り替わり、手作業はほぼなくなりました。郵送代は半分以下になりました。
「10人で1日がかり」だった2,000枚の請求書発送は、封入封緘機との連携によって「1人で半日」の作業に変わりました。時給換算するとかなりのコスト削減になりました。
新システムの稼働から1年後に全社の残業時間比較をした結果、これらの様々な手作業の自動化によって、かなり残業時間が削減できたことを確認しました。
また、これも独自開発の利点だと思いますが、日次の計上データが他システム(BIツール、経費精算、グループウェアなど)とリアルタイムで連携できるようになりました。
それにより、予算達成率などの経営情報を日次で部門別に自動集計し、把握できるようになりました。システム担当者はデータの抽出や加工の手間がなくなり、経営層は意思決定に必要な情報をいち早く入手できるようになりました。
— 稼働から現在までで、システムに機能追加などの変化はあったのでしょうか。
まず上述のような作業の自動化に取り組んだ後、2011〜2012年には損失発生を抑えるための支援機能を追加しました。外部の信用調査情報の取り込みや与信限度額の設定、入金遅延一覧の自動出力などです。
独自開発を成功させるためのポイント
— 今回のような独自開発のシステムを上手に導入するためのポイントはどのような所だと思われますか? 実際に経験されて感じたことがありましたら、ぜひ教えてください。
まず、要件定義や設計などの前段階に十分時間をかけることが大切だと思いました。本システムの開発に際しては、先述の全社ヒアリングだけではなく、それを踏まえたニッセイコムとの議論や情報分析にもかなり時間を費やしました。それによって、一から開発したシステムとしては予定外の手戻り作業などは最小限に抑えられたと思います。稼働後に動かなくなったということもありません。
もう一つは、安かろう悪かろうではなく、費用がかかってもきちんとフォローしてくれるベンダーを選ぶということでしょうか。ニッセイコムの保守サポート費用は決して安くはないと思いますが、費用に見合ったサポートをしていただいています。
ニッセイコムのエンジニアは当社の業務をよく理解していますし、こちらの要望について出来る/出来ないをドライに切り分けるのではなく、まず話を聞いてくれますし、融通を利かせて考えてくれます。「言うのはやめておこうかな」とためらったことは今までありません。
稼働して間もない頃にニッセイコムから月1回の定例会の提案をいただきました。この定例会は今でも続いています。目先のトラブルシューティングだけではなく、先々実現したいことについても会話をする場を設けることの重要性を今になって実感しています。定例会がなかったら、計画的にシステムを育てていくことは難しかったかもしれません。
今後の展望
— 最後に、今後の展望について教えてください。
現在当社は「世界に通用する丸善薬品産業ブランドの確立」に力を入れています。
「丸善薬品産業から買えば、丸善薬品産業が取り扱っている商品なら間違いない」と言っていただけるような会社になることを目指しています。
本システムは、そのための社員の活動を下支えするものだと考えます。自動化できる作業は全てシステムが担い、より付加価値の高い業務に多くの時間を割くことができるようになればと思っています。今後もニッセイコムの力を借りながら、システムを成長させていきたいです。
お忙しい中、ありがとうございました。
お客様について
本社所在地 | 大阪市中央区道修町2丁目4-7 |
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創業年月日 | 明治28年3月28日 |
従業員数 | 238名(平成28年11月現在) |
Webサイト | 丸善薬品産業株式会社 |
2017年6月取材。
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