PUSHLOG 導入事例 幸南工業株式会社様

お客様の声
工場のラインの稼働データをセキュアな通信でクラウド環境に収集し、事務所で可視化。
「工場現場管理の精度向上による安全確保」と「製造を見せる営業活動」を実現。
導入製品
<写真>
〔幸南工業株式会社〕
製造部 部長 清水 雄太 氏(写真左)
製造部 第一製造課 ライン長 村松 里紗 氏(写真右)
この記事のポイント
- データ収集・可視化の取り組みを開始するちょうど良いタイミングでPUSHLOGをご紹介。
- 工場の塗装・めっきの各ラインにPUSHLOGを設置し、データロガーやPLCと接続、閉域SIM通信でクラウド環境に稼働データを収集、事務所内のPCからWebブラウザーで稼働状況を閲覧可能な環境を構築。
- 事務所でラインの稼働状況をリアルタイムに把握することで、工場からライン停止などの事象発生時にタイムリーに報告が上がるようになり、稼働状況を踏まえた的確な指示で作業の安全を確保。
- 稼働データの収集・可視化を行っているラインをお客様に見ていただくことで塗装・めっきの品質の高さを訴求。
背景
少ロット多品種の塗装やめっきに対応するために、複数のラインが稼働していますが、その稼働状況を把握できていないことが課題でした。
— ラインの稼働データの収集と可視化が必要となった背景をお聞かせください。

幸南工業は、自動車部品の表面処理(塗装、めっき、等)をなりわいとしており、塗装はカチオン電着塗装(電着塗装)と吹付塗装、めっきはニッケルクロムめっきになります。
お客様は、自動車部品メーカーを中心に約190社とお取引をしております。
当社は塗装やめっきを専門とした会社であり、この分野で当社ほどの規模の会社は日本でも数社です。
現在は、人の手で塗装やめっきの作業をすることは無く、複数のラインで少ロット多品種に対応し、自動で塗装やめっきを行っています。
例えば、シートベルトの先端部品のめっきは、1日あたり20万個の処理能力があり、これは日本でもトップクラスです。ラインによって、手のひらサイズの小物から長尺物や重量物(鋳物の大きな塊)まで扱え、吹付塗装では、樹脂やアルミ、等の材質ごとにもラインを分けています。
塗装やめっきの方法については他社と比べて大幅な違いはありませんが、さまざまなラインを数多く持っていることが当社の特徴です。
例えば、他社は1~2ライン程度ですが、当社は電着塗装で4ライン、吹付塗装で4ライン、めっきで2ライン、脱脂や被膜処理等の前処理で2ラインの計12ラインを持っています。
稼働データの収集と可視化が必要となった背景には、このようにライン数が多いことがありました。
導入効果
現場の安全意識の向上や、お客様への品質の訴求につながりました。
— PUSHLOGでの取り組み内容と、導入効果について教えてください。
PUSHLOGを工場のラインに1台ずつ設置し、事務所でPUSHLOGの画面を見られるようにしました。

電着塗装とニッケルクロムめっきのラインは、PUSHLOGをC社製のデータロガーに接続し、温度、電圧、電流、液面、流量、等のデータを収集しています。
「液面」とは、塗料槽の液面を非接触の赤外線センサーで計っており、塗料の残量を見る値です。
「流量」とは、塗料を水とそれ以外(顔料や樹脂)の成分に分ける機械で「ろ液」呼ばれる水の量を測り、塗料がろ過できているかを見る値です。
吹付塗装のラインは、データロガーが付いていないので、PUSHLOGをM社製のPLCに接続し、ラインの駆動モータのON/OFFのデータを収集しています。 各ラインでのシステム構成は、以下の図のようになっています。

PUSHLOGからは1分間隔でデータを収集しています。
PUSHLOGの画面は、標準画面をそのまま使っており、収集したデータ(の組み合わせ)にしきい値を設け、「ユーザーアラーム」の「正常(緑)」「異常(オレンジ)」を見ています。
吹付塗装のラインは、データロガーが付いておらず、PLCから取得可能なデータは膨大なため、現時点では駆動モータのON/OFFだけを見て「正常(緑)」「異常(オレンジ)」を判断しています。
なお、ラインが正常停止すれば、PUSHLOGの画面との接続が切れるので、異常停止との区別は付くようになっています。

導入効果は、例えば「生産量が増加した」「生産効率が上がった」といった数字にはできていませんが、当社のお客様への「見せる化」の効果はあると考えています。
お客様に対してPUSHLOGの画面を見せながら、塗装やめっきのラインでの管理方法をご紹介すると、お客様からは、「ここまで管理できているのか」「ここまで管理してくれる会社は無い」「もっと雑然としたところでやっているのかと思った」といったお言葉をいただきます。お客様には、ラインがPUSHLOGで管理されていることが、塗装やめっきの品質につながっていると感じていただいています。
事務所でPUSHLOGの画面をふと見たときに「ユーザーアラーム」が「異常(オレンジ)」になっていたら、すぐに現場に声をかけることができます。
今までは、短時間のライン停止である「チョコ停」を、現場はどうしても隠したがったのですが、現在はPUSHLOGによりラインの稼働状況が可視化されたため、現場の意識が上がり、「チョコ停」した時にタイムリーに異常報告を上げてくれるようになりました。当社では現場の班長以上にiPhoneを配っており、異常報告の速報(一次報告)は、LINEグループに上がります。
ラインが停止した時、対処する作業で事故が起き、被災するという可能性もありますので、事務所側でのリアルタイムな監視と現場からのタイムリーな報告の両面があれば、事務所からラインの現状を確認しつつ運転再開に向けて現場に的確に指示が出せるので、より安全を確保できます。
「チョコ停」ではなく、長時間のライン停止や、機器の故障に起因して修繕が必要となるライン停止は、速報に加え、後に事故報告書や是正措置報告書を上げてもらい、役員に報告することになります。

私は時計を見る感覚で1日に約30回、PUSHLOGの画面を見ていますが、現場への確認は週1回有るか無いかくらいの頻度です。気付くより先に現場からLINEで連絡が入ります。 「どうせ分かることだから」と、報告をサボれないような抑止力にもなっていると考えています。 安全第一への取り組みやIoTへの対応については、5年前くらいから社長に言われており、「工場現場管理の精度向上による安全確保」と「製造を見せる営業活動」の両面で、当社ではこのような分野への投資は積極的に行ってきました。PUSHLOGによる稼働データの収集と可視化もこの一環です。
導入時の課題
工場と事務所の情報断絶を解消し、工場の稼働状況を事務所で把握できる!
PUSHLOGは「多様な機器への接続性」「はじめやすい価格」「備え付けの画面」の3拍子が決め手。
— PUSHLOG導入時の課題と、PUSHLOGを選んだ決め手をお聞かせください。

これまで、ラインの稼働状況を把握するために、機械にデータロガーを付けたり、異常があれば回転灯が点灯するといった、ライン単体での対策は行っていました。
しかし、ライン単体での対策では、事務所から工場の様子が分からないという課題がありました。
社内で事故が発生したこともきっかけとなり、ラインの稼働状況を事務所で把握、一元管理できるようにするよう、社長から指示がありました。
社長から指示があったその直後のタイミングで、帳票作成ツール(i-Reporter)を納入しているニッセイコムの営業がPUSHLOGを紹介してくれました。
とてもタイムリーな紹介だったので、他社品と比べもせず、「直ぐ買いたい」と即答しました。
PUSHLOGが優れていると感じた点は、以下の3点でした。
- PUSHLOGはデータロガー、PLC、個別のセンサー、等の様々なものにつながり、配線して設定すれば如何なる機器からもデータを取集できる。
- 一般的にデータ収集システムは一式で200~300万円かかるが、PUSHLOGは1台あたり10万円程度なので、仮にうまくいかなくても勉強代だったと割り切れる程の手軽な金額であり、1台から使い始められる。
- PUSHLOGには画面が付いており、事務所で見られる。一般的にデータ収集システムは、画面は別という場合が多い。
— 今後の取り組みをお聞かせください。

蒲郡工場のPUSHLOGは、画面に改善の余地があると考えています。 一つは、「ユーザーアラーム」と「状況の説明」にフォーカスした画面にし、現状のPUSHLOGの画面で不要な項目を非表示にしたいという点です。画面に表示する項目を絞ることにより、ラインが動いているか止まっているかを、より見易く、状況を把握し易いものになると考えています。
もう一つは、画面の接続を維持したいという点です。現状のPUSHLOGの画面は、表示させたまま一定時間が経つと、画面の接続が切れてオフラインになってしまいます。朝出社すると画面がオフラインになっているので、都度、再接続しなくてはなりません。画面の接続が切れなければ、社長室や役員室、等でもラインの稼働状況を見せることができるようになると考えています。
PUSHLOGで収集したデータは、現時点では可視化までですが、手ごろな価格の予知保全AIのようなツールが出てくれば、データを活かして予知保全に取り組みたいと考えています。
取り組みたいことは、ラインの駆動モータや大型の循環ポンプ、等のライン停止に直接つながる主要な機器の予知保全です。これにより、機器の故障に起因するラインの停止を防ぎたいと考えています。
蒲郡工場ではPUSHLOGを一通り設置しましたが、他の工場(幸田工場、中国の工場、他)については、まだ設置されていません。蒲郡工場だけでなく、他の工場を含めた全体の稼働状況を可視化できると良いと考えています。
— ニッセイコムの対応はいかがでしたか。
蒲郡商工会議所の鉄工会主催の講習会で、講演に登壇したニッセイコムを初めて知りました。それ以降、定期的に来て情報提供や提案をしてくれています。
3から4年前、社長からIoTを検討するよう指示された時に、IoTをテーマとしたニッセイコムの講演はタイミングが良かったですし、社長からラインの稼働データの収集と可視化を指示された時にもPUSHLOGをタイミング良く紹介してくれました。
当社のように、中小企業でシステムをあまりやってなかった会社にとっては、ITに関して何でも相談できる相手としてニッセイコムの存在は大変心強いと感じています。
当社がITベンダーに個別に声をかけることはハードルが高いと感じており、またニッセイコムはITの「無理難題」に応えてくれますので、大変助かっています。
導入製品について
PUSHLOGは、製品の設定のし易さとGUGEN社の手厚いサポートで、ITを知らない人でも設定だけで導入できる手軽さ。
— PUSHLOGの使い勝手はいかがですか。
当社にはITの知見がありませんが、ITの素人でも少し勉強すれば、プログラムを組むことなく手軽に使えるという点で、使い勝手はとても良いと感じています。
PUSHLOGをラインに設置するにあたり、電気工事業者にPUSHLOGとデータロガーやPLCとの配線や、PUSHLOGを入れるケースを作成してもらいました。
PUSHLOGの設定は当社村松が行いましたが、不明点があればGUGEN社の担当者に直接電話して聞きながら、一から設定を進めることができました。
GUGEN社に電話した際、担当者がその場で答えてくださったので、設定作業がとてもはかどりました。
設定作業に慣れたことで、2台目以降は1台目よりもスムーズに作業を進められました。
現時点でPUSHLOGの導入から1年ほど経ちますが、今のところ故障はありません。
吹付塗装とニッケルクロムめっきのラインは、終業後に電源を切りますのでPUSHLOGの電源も切れますが、電着塗装のラインは常時、塗料をポンプで攪拌しつつ冷却を行うため、24時間365日電源を付けたままとしており、PUSHLOGも稼働し続けています。
今後も安定して稼働し続けてくれるものと期待しています。

株式会社GUGENより
「すべての人がすぐに使えるIoTを」GUGENでは、お客様にはIoT構築に時間や費用をかけるのではなく、IoTの活用に時間を使っていただきたいと考えております。IoTをどう活用するかは、現場のことを最も知っているお客様にしかできないことだからです。幸南工業様でのご導入事例は、効果的にIoTをご利用されている事例で、PUSHLOGがお役に立つことができていることは非常に嬉しく思います。
お忙しい中、ありがとうございました。
お客様について
昭和45年創業の自動車部品(内外装品)等の塗装・めっきを専門に行う会社。
塗装・めっきを専門とした日本でも数少ない会社の一つであり、以下の特徴を持つ。
- 塗装の難しい形状や素材、塗膜割れの対策などに、特殊技術で対応
- 塗装だけではなく、検査や治具剥離まで、最新鋭の自動化設備を導入
- 徹底した品質管理により、高品質かつ高耐久の製品づくりを実現
- 4つの拠点(愛知県下、中国)で、様々な依頼に迅速に対応
本社所在地 | 愛知県蒲郡市浜町70番地 |
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創業年月 | 1970年8月 |
従業員数 | 220名(2022年10月時点) |
事業内容 | 自動車部品(内外装品) 等の表面処理 |
Webサイト | 幸南工業株式会社 |
取材日:2023年7月
本事例に記載の情報は取材日時点のものであり、本ページ閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
※PUSHLOGは、株式会社GUGENの登録商標です。
※ConMas i-Reporterは、株式会社シムトップスの登録商標です。
※LINEはLINE株式会社の登録商標です。
※iPhoneは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
