給与計算ミスによる給与の未払いや支給額の誤りはどう防ぐ?原因と対策

2025年03月03日
どのような企業においても毎月必ず行われる業務、給与計算。従業員への給与を算出するための重要な業務ですが、給与計算ミスによるトラブルは少なくありません。給与計算ミスはなぜ発生してしまうのでしょうか。
今回は、給与計算ミスによる給与の未払い、支給額の誤りの原因と対策についてご紹介します。
目次
2.2. 年齢による徴収項目の変化
2.3. 標準報酬月額の改定漏れ
2.4. 年度ごとの改定
2.5. 入社・退職時の保険料控除や日割り計算
2.6. その他支給項目の流用
1. 未だに発生する給与計算ミス
給与計算ミスは未だに発生しています。例として、年末調整にミスがあったケースを確認してみましょう。
年末調整時、毎年戻っていた所得税が今回は戻らず、逆に徴収されてしまいました。
原因は、子供が社会人となり扶養から外れた際に担当者による変更漏れがあり、年末調整時に扶養控除分を徴収されたためでした。
トータルで見れば損はありませんが、給与計算ミスがあったことには変わりありません。なぜこのようなミスが生じるのでしょうか。
2. 給与計算ミスの原因
2.1. 身上異動や金額変更に伴う変更
締日から支給日まで短期間のため、複数名で分担してデータ入力しているような場合、分担の境目のデータ入力漏れが発生するケースがあります。
「これまで入力チェックが完了している。」「ここからデータ入力して。」など、作業状況による再分担時には特に注意が必要です。
2.2. 年齢による徴収項目の変化
従業員の年齢により、徴収すべき保険料や免除・終了する保険料が変化します。この変化を考慮せずに計算することでミスが生じることがあります。特に気を付けるべき年齢は、「40歳」「65歳」「70歳」「75歳」に到達した時です。
介護保険料の徴収開始。誕生月からスタートします。
介護保険の特別徴収終了。誕生月から徴収が終わります。
厚生年金保険の資格喪失。誕生月から徴収が終わります。
後期高齢者医療制度への移行による健康保険の資格喪失。誕生月から徴収が終わります。
2.3. 標準報酬月額の改定漏れ
定期外の昇降給者や転居などにより通勤手当が変更となった者に対する随時改定を行わなかった場合、保険料の不正徴収となるケースがあります。
2.5. 入社・退職時の保険料控除や日割り計算
社会保険料は入社翌月から、雇用保険料は入社月から控除を始めます。月の途中で退職した場合、退職月分の社会保険料は掛かりません。
また、途中入社・退職者への給与は日割り計算をし、入社月・退職月分を支払うことが一般的です。日割り計算の方法は法律で定められているわけではなく、企業によって異なります。日割り計算を行う際は、自社の就業規則を確認することを推奨します。
2.6. その他支給項目の流用
イレギュラーな支給を「その他支給」を使用して支給した場合、課税・非課税、雇用保険の対象・対象外等により所得税・雇用保険が不正になり、年末調整、労働保険、地方税(住民税)にも影響します。
3. 給与計算ミスを防ぐためには
給与計算ミスはヒューマンエラーによる場合が多いことから、給与計算ミスを防ぐためには手計算やExcelによる計算をできるだけ避け、給与計算システムでいかに自動化、チェックが容易に行えるかが重要です。
人事システムと連携できる給与計算システムであれば、従業員情報が変更になった際の変更漏れを防ぐことができます。給与計算システム入れ替えを検討されている場合は、人事システムとの連携機能についても確認しておくと安心です。
4. おわりに
毎月のルーティンワークである給与計算処理のミスの多くは、従業員情報の変更や料率の改定の確認を怠っていたなどのヒューマンエラーです。
最新の給与計算システムは、入力の自動化による変更漏れ防止やチェック機能を備えたものもありますので、そのような機能を利用することが最も有効な手段です。
ニッセイコムの「GrowOne 給与SX」は、手計算を徹底的に削減することで入力・計算ミスを防止し、作業の効率化も実現できます。
例えば、
・手当テーブルの利用により手当て関係の情報を人事情報から自動的に取得できます。
・変更漏れを防ぐために、住民税、社会保険料率などの先行入力が可能です。これにより、適用日を待たず情報が来た段階で入力が可能です。
・住民税の徴収情報について、eLTAXから入手する新税額ファイルからの一括取込が可能です。
・変更チェック機能により、前月と今月とで変更になった箇所をチェックすることができます。
・複雑な給与計算にも柔軟に対応できるので、手計算やExcelに頼らずシステム内で完結できます。
「GrowOne 給与SX」は、このような機能で、給与計算ミスの防止、作業の効率化が実現できますので、導入を検討されてはいかがでしょうか。