「GrowOne 施設」導入事例西宮市様
「公共施設予約管理のような
『使いながら進化させていく』タイプのシステムに、
ニッセイコムは向いています」
- 導入製品
- GrowOne 施設 自治体版
- 地域
- 兵庫県
- 人口
- 48万7818人(2019年3月1日現在)

取材にご協力いただいたお客様
総務局 情報管理部 情報企画課 課長 稲澤氏(左から3番目)
同課 係長 横田氏(左から4番目)
産業文化局 文化スポーツ部 スポーツ推進課 係長 釘田氏(右から2番目)
同課 主事 西田氏(右から3番目)
ニッセイコムの営業・SE
営業 浅野(左端)、石山(左から2番目)
SE 中井(右端)
約30年に渡るパートナーシップ
-- ニッセイコムの施設予約管理システムを導入されてから約30年が経とうとしています。導入当初のエピソード等があれば教えていただけますか。
(元西宮市CIO補佐官/被災者支援システムサポートセンター長 吉田氏) 当初西宮市で地域情報化の一環から導入した某メーカー製の市民会館向け施設予約システムは、ヘルプデスクや運用業務のサポート面でまったく満足がいくものではありませんでした。リプレースにあたり、運用保守サポートが迅速で充実していること、ユーザーフレンドリーなシステムであること、安価であることを重視し、ニッセイコムを選定しました。その後、体育施設やその他公共施設への導入が進み、現在はようやく1システムで統合が果たせました。特に、体育施設への予約システム導入は住民サービス向上、運用効率、人件費削減など他に類を見ない導入成果です。
(総務局担当理事 山本氏) 初期に導入した体育施設予約管理システムについてよく覚えています。当時体育施設を利用するためには、平日の日中の公開抽選会に参加し、開庁時間に来館して申請の上、利用料を支払わなければなりませんでした。数百人を対象に行われる抽選業務は全て手作業で、担当者総出で業務に追われていました。

市民であれば誰もが公平かつ簡単に施設を利用できることを目指し、システムの開発に取り組みました。ニッセイコムのエンジニアの皆様に実際の抽選の様子も見てもらった上で、どうシステムに反映させるか、現場職員と一体となって知恵を出し合いました。何度も打合せとテストを繰り返し、苦労もしましたが、熱意にあふれた思い出深いプロジェクトでした。
システムの完成により、抽選や受付の業務は大幅に効率化しました。当時の関西地域では画期的なシステムであったこともあり、稼働後しばらくは多くの自治体が視察に訪れました。
そして何より、市民から「使いやすくなった」「平日抽選に行けない自分も利用できるようになってよかった」という声が寄せられたことが嬉しかったです。システム化によりそれまで約1,000だった利用登録団体数が3,000以上に増えたことに強い手応えを感じていました。
稼働から数年後の1995年には阪神淡路大震災がありました。発災直後で公共交通機関が復旧していない中、ニッセイコムの皆様は安否を気遣って歩いて来てくださいました。当時、中央体育館は市内最大の避難所となり、約1,500名の避難者の方々が生活されている中、全国からのボランティアや支援物資でごった返しており、私たち職員は極限状態にいました。そんな中での温かなお心遣いは忘れられない思い出です。
その後担当者は入れ替わっても、当時築かれた御社と西宮市とのパートナーシップが、現在でも続いていることに心から感謝しております。
5系統の施設予約管理システムを構築、運用、統合
-- 導入当初からこれまでの、施設予約管理システムの発展について教えてください。
(稲澤氏)これまで西宮市では、対象者(勤労者向け/一般市民向け)や種類(体育館やグラウンドなどのスポーツ系、ホールや展示室などの文化系など)ごとに、全部で5系統の施設予約管理システムを構築・運用してきました。
具体的には下図の通りで、1990年代前半に先述の体育施設予約管理システム(スポーツ系)、勤労系、文化系と各所管課がタイミングに合わせて予算化し、システムを立ち上げてきました。
5つのシステムは、施設予約管理の基本的な業務、たとえば予約受付、抽選受付、備品貸出、料金精算、各種統計や照会といった部分は同様の機能を備えています。しかし施設の種類によって利用時間の区切り方、料金や決済方法の設定方法や変更頻度など異なる部分も多いため、システムごとのカスタマイズも施されています。そのため基本的には各システムを個別に運用してきました。

<西宮市における施設予約管理システムの構築・運用経緯>
システムの統合化とその効果
-- 個別運用されていた5つのシステムの、統合化の経緯について教えてください。
市が定めた情報化推進計画に沿う形で、コストの最適化や業務の効率化を目的としたシステムの統合化を段階的に進めてきました。
まず2012年より段階的にサーバの統合化を行いました。
システムは独立したままで、物理的なサーバの台数を減らしていきました。
続いて、2015年度には、共通のポータルサイトを構築しました。
それにより「文化会館は空いていないが、同じ日の公民館は空いている」といったような複数のシステムを横断する検索ができるようになり、施設の稼働率向上を図りました。
そして2018年にはもう1段階統合を進め、5つのシステムを1つの基盤上に構築しました。
先述の通り、システムの中身についてはそれぞれの運用や規定に合わせられる部分と合わせられない部分があるのですが、データの出力の仕方など共通化できる部分を洗い出して揃えました。
まだ完全な統合化までは至っておりませんが、サーバの運用コストに加え、システムの操作や処理業務にかかる人員や時間の削減といった観点で、着実に効率化されています。
-- 長期間、別々に運用されてきたシステムの統合に苦労されている自治体も多いと聞きます。実際に経験されてわかった、統合化のポイントなどがあれば教えていただけますか?

利用部門ごとに独立したシステムであったため、どうしても縦割りの意識が強くなってしまうことは仕方のないことです。私たちがここまでのところ効率的に統合化を進められてきた理由の1つは、全庁のICTを管理する情報部門を媒介として各課が協働すると共に、情報部門がICT調達ガイドラインに則ってガバナンス体制を構築したことにあると考えます。
統合化の取り組みをきっかけに、定期的に部門を超えた会議をする土壌もできました。職員間の意思疎通のしやすさも向上したと思います。
ニッセイコムの評価
-- 施設予約管理システムの構築や運用、統合化における、これまでのニッセイコムの活動について評価していただけますか。
最初のシステム開発以降、システムの拡張や統合化の案件が発生する毎に複数ベンダーのシステムとの比較検討は行ってきました。結果的に、機能、価格の総合的な評価と住民サービスを第一に考え、現在は全ての施設予約管理システムについてニッセイコムにご支援いただいております。
施設予約管理システムは、まだ枝葉のついていない初期状態のパッケージ製品からは飛躍的に進化を遂げており、どのベンダーともあまり差はありません。しかし、どのような類の施設を対象とした場合でも、全くの初期状態のまま運用するということはあり得ません。ユーザーフレンドリーであり、住民サービスに重きを置くのであれば扱う施設や管理方針に応じた細かいカスタマイズや設定が必要です。
また、当時地域情報化の目玉でもあった施設予約管理システムは、理想形はあるが完成形はなかなかありません。これまで何十年と進化を続けたシステムでもありながら、施政方針、施設の新設や改修、統廃合、利用形態や決済手段の多様化、指定管理者を含めた運営業務の改善など、多くの変動要因を持つがゆえに、常にどこかに手を加えながら使い続けるタイプのシステムだと思っています。

(西田氏)ニッセイコムは施設予約管理システムについて多くの経験やノウハウを持っています。
そのためこちらから何かしらのカスタマイズや変更をお願いすると、いつもレスポンスが早く、柔軟に対応してくれます。単にできる/できないだけではなく、複数の選択肢や、こちらでは想定していなかった考慮点を示してくれます。
現場での運用や操作の細かい部分になると、私たちにはわからない問題が発生することもあります。そのような時ニッセイコムのエンジニアは、直接、指定管理者ともやりとりをしてくれます。私たちは結果報告を受け、情報共有を図ることでスピーディな対応が図れています。
また、ニッセイコムは専属のエンジニアが長く担当してくれます。
異動が多い私たちにとっては、それも安心材料の一つです。
そして最後に、機能面について1つだけ。
長年運用を重ねてきた中で、自分たちで設定変更できるような機能を少しずつ増やしていただいています。その分カスタマイズ費用がかからなくなるため、継続的なコストパフォーマンスの向上に貢献しています。
今後の展望
-- 最後に、今後の展望について教えてください。
今後も引き続き、システムの統合化を着実に進めていきたいと考えています。それにより、より利便性が高く快適なサービスを市民の皆様に提供できるよう努めたいです。
また、電子マネー決済を始め、新しい利用手段への対応も求められていくと思います。拡張性に優れたシステムであり続けるためには、先を見越した、先手を打った取り組みが必要です。ニッセイコムからの積極的な提案とサポートを、そしてこれまで同様に熱意を持ち当市と同じベクトルで市民サービスの向上が図れることを今後も期待しています。
お忙しい中、ありがとうございました。
お客様プロフィール

兵庫県南東部、大阪市と神戸市のほぼ中間に位置する約49万人の中核市。春・夏の高校野球大会が開催される甲子園球場のあるまちとして知られている。
情報化の取り組みについて高い評価を受けており、日経BP社の「e都市ランキング」では2005年、2006年に全国1位を連続受賞している。また総務大臣表彰他数々の賞を受賞している。
- 人口
- 48万7818人(2019年3月1日現在)
- Webサイト
- 西宮市
- 取材日
- 2019年4月
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