「GrowOne 施設」導入事例株式会社朝日ビルディング(フェスティバルホール)様
「100項目以上の課題を乗り越えた
チケットシステムは、日本全国
どこのホールでも通用すると思います」
- 導入製品
- GrowOne 施設 チケット販売管理
- 地域
- 大阪府
- 従業員数
- 110名

取材にご協力いただいたお客様
フェスティバルホール 副支配人 磯部吉孝氏(左から2番目)
サブマネージャー 清水暖氏(右から2番目)
チケットセンター 中西歩氏(中央)
ニッセイコムの営業・SE
営業 浅野(右端)
SE 中井(左端)
導入の背景・目的
フェスティバルホールのチケットシステムとして「GrowOne 施設」を導入
-- 朝日ビルティングでは、ニッセイコムから何を導入されたのでしょうか。
当社が運営するコンサートホール「フェスティバルホール」のチケットシステムとして、ニッセイコムの「GrowOne 施設」を導入しました。


1958年、芸術性の高い演奏会を開催するにふさわしいホールがなかった当時の日本において、国際的な音楽祭を開催できるホールとして、大阪・中之島に誕生。「天井から音が降り注ぐ」と称えられた音響特性が高く評価され、クラシックからポップス、ジャズ、能、狂言など多彩なジャンルで人々に感動を届けてきた。
建替えのための一時閉館を経て、2013年春に再始動。
旧ホールの音響特性、間口30メートル、2,700の客席を継承しつつ最新鋭のホールとして進化を実現した。開業から5年目を迎えた2017年度には来場者が累計300万人を突破、日本を代表する「音楽の殿堂」として音楽文化に寄与し続けている。
-- 「GrowOne 施設」の導入経緯を教えてください。
2013年の新ホールオープン当初から使っていた旧システムは、ホールの建築中に導入を決定したものであったため、要求仕様が十分に反映されていないままの状態で稼働せざるを得ない部分がありました。また稼働後のカスタマイズも十分ではない状態でした。
フェスティバルホールは多目的ホールであることが特長です。クラシックやポップスの人気コンサートから、オペラ、バレエ、能、狂言、講演会まで用途は広範です。加えて、
・座席によって1〜8ランクに分かれる席種
・会員種別毎に異なる割引価格
・インターネットと電話による予約受付
・クレジットカードやコンビニ引取など複数の決済手段
・受託公演と自主公演それぞれの票券管理プロセス
このような各要素を組み合わせると、システムで処理する内容のバリエーションは膨大です。
旧システム提供元のベンダーは、当社の求めるカスタマイズに応えようと努力してくれましたが、得意分野の違いから実現できない機能が数点ありました。その後残念ながらそのベンダーから撤退の申し入れがあり、別のシステムを探さなくてはいけなくなりました。
選定ポイント
課題をリスト化し、実機に触れ、ユーザーを訪問
5社のパッケージシステムを候補としてリストアップし、以下のような進め方で選定を行いました。

・まず、課題の洗い出しを行いました。すぐに解決すべき問題点、人為的ミスの防止や手間の削減のためにより良くしたい箇所、いずれは実現したい機能など、100項目を超える数になりました。
・この課題リストを元に、各ベンダーにどの程度カスタマイズ対応をしていただけるかを確認しました。リストの中には「複数公演の申し込みを電話で受ける時に、お客様を待たせないようなスムーズな入力ができるか」といった、感覚的な項目も多くありました。そこで各ベンダーに依頼をして、実際にシステムを触ることのできる環境を用意していただき評価を行いました。
・さらに各ベンダーのシステムを導入している大阪や東京のホールへ見学に行きました。票券管理を担当しているチケットセンターのスタッフも同行し、上述の課題リストを元に「こういう事で困っているのですが、どうされていますか?」と1つ1つ質問をして教えてもらいました。
候補に挙げた5社のうち2社は、課題リストを提示した時点で「当社のシステムではカバーしきれない」と辞退しました。残った3社を比較検討し、ニッセイコムの「GrowOne施設」の採用を決定しました。
-- 最終的にニッセイコムの「GrowOne 施設」を選ばれた理由を教えていただけますか?
各社のパッケージシステムは、標準版では機能や価格に大きな差はありませんでした。決め手はやはりカスタマイズ対応の部分で、当ホールの幅広い用途や業務プロセスにどれだけ対応できるか、課題リストをどの程度クリアできそうかが焦点になりました。
ニッセイコムは当社独自のシステムを作り上げていくことに協力的な姿勢を示してくれました。特に、大阪にも拠点があり、開発に携わったエンジニアがそのまま専任で運用も担当して頂ける点がいいなと思いました。前のベンダーは大阪にエンジニアの拠点が無く、要望は全て営業経由でやり取りをしていたため、問題解決がスムーズに進まないことがあったからです。
ニッセイコムとは、選定後から要求仕様についての定例会を重ねてきました。
はじめのうちは2週間に1度くらいのペースで、リストアップした課題はどこまで解決したか、次はどの課題に着手するかを話し合いました。作る側と使う側では、各課題の相対的な重要度や緊急度の解釈が異なることがあります。こまめに意識合わせをしながら進めていくことができたのはとても良かったと思います。

定例会はこれまでに40回近くは開催されたと思います。
それ以外にも、いざという時にはエンジニアが駆けつけてくれて、システム画面を一緒に見ながら直接会話を重ねてきました。
専任エンジニアの価値を強く実感したのは、システムの運用が始まった後でした。どれだけ開発段階で詰めていても、運用を始めると思い通りにいかない所や、運用しながらチューニングしていく部分は多く残っていました。
稼働からおよそ1年半が経過した現在、100項目以上あった課題はほぼ解決しました。
当ホールとニッセイコムが一緒に進化させてきた今のチケットシステムは、日本全国どのホールでも通用すると思います。
導入効果
お客様にも、スタッフにも、優しいシステム
当ホールには、全国各地のホール関係者の方々がよく見学にいらっしゃるのですが、チケットシステムについても聞かれることが増えてきました。先方がどんな規模、用途のホールかを伺った上で、こちらから「こんなこともできますよ」と機能や仕組みを紹介しています。「そんなこともできるのですね!」と驚かれることも少なくありません。
-- よく話題にあがる機能を教えていただけますか。
それでは、色々な観点からいくつかご紹介します。
<お客様にストレスを与えないインターフェース>
お客様がインターネットでチケットを購入する際の、ちょっとしたストレスをできるだけ取り除けるような工夫をしました。空席情報については、ログインする前でも座席表を表示して確認できるようにしました。
<自主公演・受託公演の両方に対応>
自主公演と受託公演のどちらかに特化しているホールが多いと思いますが、当ホールではチケットの取扱量は両方とも同じくらいです。システムをどちらかに寄せて一方をイレギュラー対応するのではなく、自主/受託ともにミスなく票券管理ができるシステムを作るために、画面遷移やボタンの位置、帳票などに工夫を加えてきました。
現在はとても使いやすくなり、間違いのない配券ができています。
受託公演の場合、2週間前に席番と券面を揃えて出していただくようにお願いしているのですが、いろいろな事情で発売日の直前に配券が来ることもあります。それでもなんとか対応できているのは、受託のシステムがしっかりしているからだと思います。

<ミスを防ぐ「仮登録機能」>
配券、受託、返券などの登録時、仮登録をして帳票を出力し、確認をとってOKになってから本登録をするという具合に、ワンクッション挟むことでミスを防ぐプロセスを作ることができました。
仮登録の状態のまま放置しているものがないかが一目でわかるような「注意事項一覧」という画面を作るなど、できるだけ人為的なミスを防ぐ工夫も施しました。この機能は他には無いと思います。
<人気公演の発売日はサーバの処理能力を一時的に高められる>
本システムは自社内にサーバを設置するのではなく、ニッセイコムの提供するクラウドサービスとして利用しています。このクラウドサービスの特長を活かした仕組みを作っていただきました。
人気公演の予約申し込みの初日などは、大量アクセスによりサーバにかなりの負荷がかかります。万が一パンクしてしまうと、お客様に多大なご迷惑をおかけしてしまいます。しかし、大量アクセス時の基準でサーバの処理能力を定めてしまうと、運用コストがかなり高くついてしまいます。
そこで、アクセスが多くなることが予想される日時だけ、事前にスペックアップのスケジュールを登録することで、一時的に処理能力を高めることができるようにしていただきました。今のところ、人気公演の発売日でもアクセス集中による障害が発生したことはほとんどありません。
<時間単位での販売分析>
様々な抽出条件で、販売情報を確認できるようになりました。
例えばテレビで公演に関する特番が放送された後、何時から何時までチケットが何枚売れたか、といったデータも簡単に見ることができるようになりました。
今後の展望
システムの見学はいつでも歓迎いたします
-- 最後に、今後の展望について教えてください。
現在仕上げの段階にある「抽選機能」の実装が終わると、当初描いていたシステムの条件が全て実現しますが、それに満足することなく、より便利でお客様や取引先に喜ばれるようにシステムを進化させ続けていきたいと考えています。
また、ニッセイコムと一緒にここまで作り込んできたシステムですから、より多くのホールで使われるようになるといいなと思っています。ユーザーが増えると運用のノウハウも増えますし、今後のバージョンアップにも繋がります。
もし、このチケットシステムを見学したいという他ホールの方がいらっしゃれば、いつでも歓迎いたします。ご連絡をお待ちしております。
お忙しい中、ありがとうございました。
お客様プロフィール

朝日新聞の創刊50周年を機に設立された、朝日新聞グループ不動産部門の中核会社。大阪をはじめ東京、名古屋、京都、神戸、福岡など全国の主要な都市で18棟(うち自社所有ビル11棟)のビルをマネジメントしている他、ホール運営、商業施設運営などを展開している。
- 本社所在地
- 大阪市北区中之島2丁目3番18号
- 創業年月日
- 1929年8月3日
- 従業員数
- 110名
- Webサイト
- 株式会社朝日ビルディング
- 取材日
- 2018年4月
本事例に記載の情報は取材日時点のものであり、本ページ閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。